トルコで日本時間の7月16日未明に、政権に不満を持つトルコ軍の一部によるクーデターが起こり国際空港や橋などが封鎖されたという報道が入ってきました。
様々な内容の情報が入ってきましたが、現状ではトルコ軍の参謀総長代行によってクーデターの失敗が宣言されています。
クーデターが鎮圧されたとしても、以前からあるテロや民族問題などで不安定な状況は続くと予想されるので、今後の動向からは目が離せませんね。
今回はなぜトルコでクーデターが起きたのかという原因や、トルコにあるトヨタやその他の日本企業に及ぼす影響、また日本の株価に与える影響についても見ていきたいと思います。
トルコでクーデターが起きた原因は?
今回トルコでクーデターが起きた直接の原因は、最近のエルドアン大統領による反対派の政敵の厳重な取り締まりがきっかけだと言われています。
ところがトルコで起きる軍のクーデターは過去にも何度か例があり、その原因をみてみるとトルコにおける軍のクーデターの意味がわかります。
トルコという国は大部分の国民がイスラム教徒なのですが、厳格な世俗主義ということを国是にかかげています。
これは政教分離の原則を守り、国家の政権や政府機関が特定の宗教に支配されないということを意味します。
ところが、トルコでは世俗主義に反するような、極端にイスラム教の教えに忠実にあろうとする政権が現れたことが過去にあり、その時には軍が政教分離の守護者としてクーデターを起こし、世俗主義を守ってきました。
今回のクーデターもエルドアン大統領のイスラム教主義的な政策に反感を持った軍の一部の勢力が民主的な国に戻すために起こしたと考えられています。
トルコのクーデターは首謀者が拘束されたのか。そもそもは世俗派の軍部と宗教熱心な大統領派の争いなのな。だけど、無辜の国民を犠牲にした以上、軍部側に説得力がないわな。立ちふさがった国民を戦車でひき殺すって天安門かよ…。
— とにょこ (@tonyoko0722) 2016年7月16日
調べてみると、私がもともと持っていたクーデターのイメージとは少し違う感想を持ったのでびっくりしました。
普通だと軍によるクーデターと聞くと、そちらのほうが独裁者による支配というイメージを持ってしまうのですが、トルコの歴史をみてみると、政権によるイスラム教主義的な独裁が起こりそうになると軍によるクーデターが起こって軌道修正してきたんですね。
そういう観点から見てみると、今回のクーデターの失敗によってさらにエルドアン大統領の支配が強くなり、これからのトルコの社会が独裁に近いものになっていくのではないかと不安を感じています。
現地のトヨタ工場や今後の日本の株価に与える影響は?
トルコは地理的にも経済的にもアジアとヨーロッパを結ぶ重要な地域であり、また以前からの親日国です。
そのため以前から自動車や電機など、多くの日本企業が進出しており、その影響が心配されています。
トヨタ自動車はカローラなどの主力乗用車を年間約12万台生産している現地の工場の操業を一時停止する影響が出ましたが、すでに再開されているようです。
駐在員や出張者など全員の安全を確認したということでとりあえずは一安心ですね。
ただトヨタ自動車は2016年末にはトルコでSUVの生産を始める予定でした。
そのためにトルコの工場に約450億円を投資して欧州市場に向けて輸出する予定でしたが、今回のクーデターによってその計画にも影響が出ることは避けることはできないと思われます。
トヨタのTNGA新工場がトルコに建設と聞いてました。欧州向けCHR(SUV)を生産する計画。チーフ・エンジニアのKBさんから「トルコの工場見に来てね」と言われてましたがどうなるのだろうか。 / トルコで…https://t.co/asyrdjvFpQ #NewsPicks
— Kazuo Shimizu (@gankoittetsukaz) 2016年7月16日
他にも三菱重工業、ホンダ、パナソニック、三菱東京UFJ銀行など、現地に日本人を派遣している会社は多いです。
今のところ現地に派遣している社員の無事は確認されているようですが、今後の情勢によっては規模の縮小や撤退などの可能性もあるものと思われます。
クーデターが今後の日本の株価に与える影響は?
参議院選挙後、日本の株価は日経平均株価が週間で9.21%上がるなど、1997年11月以来の大幅アップでした。
ところが16日に入ってきたトルコでのクーデターのニュースによって日本株の先行きは不安なものになってきましたね。
世界情勢が不安定になると円が買われ、円高になる傾向があります。
この三連休で情勢が安定するかどうかも注目されますが、フランスでのテロなど不安定な要素はまだまだありますね。
急激な円高が進むと大口の外国人投資家が株を手放すことも多くなり、日本の株価が下がる傾向があるので、今後の状況に注目する必要がありますね。
個別の株で考えると三菱重工や伊藤忠商事、大成建設、トヨタ自動車など、トルコでインフラや大規模な事業展開を進めている企業の株は今後のトルコ国内の情勢によってはリスクがあると判断されると売られてしまう可能性は否定出来ないですね。
今度はトルコでクーデターか。今年は先が全く読めないねえ。株は買ってはならんな
— Belzeck (@Belzeck) 2016年7月16日
まとめ
トルコでのクーデターはとりあえずは失敗に終わったようです。
今回のクーデターの失敗によってトルコが一層エルドアン大統領の独裁に近づいていくという考えもあり、今後も反対派の弾圧とそれに対する抵抗の対立の構図が進んでいく可能性もありますね。
そうなるとトルコの国内の情勢も不安定になり、進出している企業だけでなく日本にとっても円高や株安の問題が出てくるので他人事ではすまなくなります。
とりあえずは現状は続報を待つしかないですが、この三連休の間にトルコ国内の情勢が無事落ち着くことを祈っています。